FIXされた芯ホルダー
ヤバドゥ! ヤバドゥ!! ヤバドゥ!!!
旧年中は誠に御世話になりました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
願わくば今年も物欲を鋭くとぎすますアイテムをいっぱい期待しますので、どうぞ世界よ僕に散財するだけの魅力的なアイテムを提供し続けてください。
散財する金? ああ、心配要りませんよ。
散財するために仕事をするんですから。ね?
はい、年始の挨拶はこんなところで終了ッ!!
ってことで今年も始まりました物欲チャンネル! 今回の物欲品はこちら!!
スイスはカランダッシュ社の名品、FIXPENCIL22でございます!!
いやあ、たまたまご近所でお安く売っていて良い買い物を致しました。
ってことで早速レビューをな。な。ななな。
このカランダッシュのFIXPENCIL22は、2ミリの芯ホルダーです。
特筆すべき点は、その形状。
ボディ部分を贅沢にフルメタルで作成しており、ブラックマット加工をすることにより滑りにくくしてあり、さらに形状を六角形にすることで、使いやすさを向上させております。
その上でボディの長さにも工夫がありますが、それはまた後で解説したく思います。
つまり端的に言えば「壊れにくく、かつ使いやすい条件を揃えた2ミリの芯ホルダー」ということになりますか。
では、ここからそれらを色んな角度から見ていくことにしたいと思います。
どうぞお付き合いのほどお願い申し上げます。
・フルメタルボディの魅力
では、まずぴんと来ない皆様にフルメタルの利点をお話したく思います。
それはなによりも「安心感」にあるでしょうか。
文具で金属製のものは基本的に精度が高めで作られており、触った瞬間に解る確かな硬さと密度があり、指に押し帰ってくる感触に安心感があるのです。
これならば長く使える。多少の酷使にも耐えられる。
そんな安心感は所有者に使用時の思い切りの良さを与えてくれ、長年使い続けることで現れる使用感が所持者の経年を物語るに至り、自らのシンボルマークとしての扱いも可能になる要素を秘めているのです。
・握りやすさを最優先した六角ボディと驚きの軽さ
では次に六角形であることの利点についてお話しましょう。
この形状、皆様ならばとうの昔にピンときているのではないでしょうか。
そう、鉛筆の形状なのです。
ここで、鉛筆の形状がどうしてそうなっているのかに関しまして軽くお話をしますと、コストと握りやすさのバランスを考慮した結果、効率の良い形が3の倍数角であるということでして。故に世には3角、6角の鉛筆が用意されているのです。(勿論最良は四角ですが、とても持ちにくくて暴れたくなります。)
色鉛筆の場合は芯が衝撃に弱いため、衝撃を緩和するために円形を採用しているのですが、それはさておくとしまして。
ほぼ誰もがこの形の鉛筆を一度は触り経験してきていると思いますので、最も馴染みある形ということなのです。
勿論、それぞれの角は鋭角ではなく丸く丁寧に削られているため指のあたりも実にマイルドで、さらに先端部に行くにつれて円形になるような作りにしてあるため、非常に持ち味が良く違和感なく鉛筆として使うことができるのです。
そしてもう一つの驚異的な軽さについてもお話ししましょう。
この芯ホルダー。なんと重量がたったの9.5g
これはフルメタルで作られた筆記具としては大変珍しい軽さなのです。
鉛筆の重量は平均で4g程度ですが、重量バランスの妙により、ほぼ鉛筆と変わらないぐらいの重量の品を扱えるというイメージが焼き込まれ、より指先に馴染むアイテムとなっております。
・指にしっくり来るボディの長さ
最後に、この文具の最大のポイントである長さについて語ってみたく思います。
この芯ホルダーの長さは136ミリ。実はフルサイズの鉛筆と比較してそこそこ短い設計になっております。(JISによれば172ミリ以上が鉛筆の規格)
実際鉛筆を使われていて、長すぎると思ったことはないでしょうか。
ある程度削ったぐらいが持ちやすいのですが、丁度この芯ホルダーは削った中で一番良い感じの長さでとどまっているのです。
この長さは標準的なシャープペンシルやボールペンで採用されてる長さに近いので、日頃文房具に慣れ親しんだ方ならば、まず普通に馴染むのではないでしょうか。
以上、シンプルな見た目の道具ではありますが、全てが「書く」ことに特化した結果、大変心地よい書き味となっております。
通常のシャープペンシルとは事なり、先端の太さにより、さまざまな描き方を再現出来るのも強みとなり、根っ子に近いあたりで握ってみたり、芯を思い切り伸ばして擦るために使ったりと応用範囲が増えるのもまた有り難い限りです。
と、いうわけでこの道具、一般的な使い方でも構わないのですが、寧ろイメージを固めるときや、ラフスケッチを描くために使うとさらに輝ける道具となることでしょう。
そういった用途で指に馴染むモノがない、という方はどうぞこれを手にとってやってみてください。
きっと指の先から神経がつながる感触が得られると思います。
それでは今回はこのへんで……
「新年あけましてさっさと死ねば?」
「年始早々お前の過激な言動はどうにかなりませんか、脳内金髪少女メリー(18禁)。振り袖姿ということは神社とかに行った帰りですか貴様」
「案外ないものよね」
「安産祈願のお守りか?」
「祈るとターゲットが死ぬ神社」
「年始早々から最悪ですね。そんな暗殺専用神社とか世界を見回してもあるわけねえだろうが。どこの暗黒神社参りするつもりだったんだ」
「そうね。年始という割りに日付が大分過ぎてるようだけど」
「たった今浦島時空が展開されてて時間は巻き戻ってるところだから問題ない」
「無知を晒し続けてるわね。ウラシマ効果は巻き戻りの効果なんて一切出ないわ。それでこれが今年一発目の致命傷?」
「致命傷言うな。でも結構イイカンジだろ、それ」
「玄人好みの外見に、玄人好みの重量、玄人好みの機能を固めたマニア向けね。普通の人間ならまず確実に買わないんじゃないかしら。そも、芯ホルダーを使ってる人口の少なさを考慮に入れるべきね」
「おま!! 色々言ってはならんことを平気で口に出すんじゃありませんよ?!」
「さっきは美点ばかり口に出していたようだからこの道具の欠陥を語ってあげるわ。構わないわね」
「いや待て! フルボッコ祭りになるからよせ!」
「答えは聞いてないわ。これって長さは確かに握りやすいというか、安易なシャープペンサイズにしたようだけど肝心の芯はどうなのかしらね?」
「ぐっ! そ それは」
「答えられないわよね。専用芯以外だと、芯をわざわざ折って使うしかないのでしょう? 毎度毎度芯を折って使うのは美しさにも効率にも欠けるわね」
「いや……それは統一規格がですね!」
「JISの所為? それとも世界的な芯ホルダーの標準仕様の所為? どちらにしろ道具としてユーザーに手間をかける仕様にしたのは欠陥品といって差し支えないのではないかしら」
「お前のハードルどんだけ厳しいんだよ! イジメか!?」
「ただの消費者意見よ。そも長さを縮めて使いやすさを向上させ、対価として手間が増えるなら本末転倒。もっと重量配分とバランスを考慮に入れた上で作ればいいだけよ。このFIXPENCILには22の他に885と言うモノがあると聞いているわ。確か、22のロングタイプ……だったかしら。形状はよく似てるわね」
「ぐぐぐぐ うぐ」
「反論もできないようね。それが貴方の隠したかったことならば当然、といったところかしら。まあ、褒めてあげる部分があるとすれば──芯のノックボタンの中味ね」
「芯研ぎ器のことか?」
「ええ、此処だけは褒めてあげる。シンプルな構造と、理に叶った動作形態。簡易と謳ってはいるものの元来の芯研ぎ器よりも折れにくく目詰まりしない。合理性においてはこれを公式の芯研ぎ器にすべきと思う出来ね」
「お前そう言うの好きですよね。徹底した合理性があるとホイホイされるとか」
「そうでもないわ」
「せめてそこは素直に頷こうよ。空気読もうよ」
「ところで芯ホルダーだけど」
「なんですか。話をかっとばしまくるのはお前の悪い癖ですがそれはさておき」
「試しに自動車に轢かせてみたくなったから窓から投げ捨ててみたわ」
「なんてことすんじゃお前はー!!」
ってことで大変いけないことをしたメリーを窓から自由落下の刑にしつつ今回はこの辺で。
たまには芯ホルダーの柔らかい書き味も、いいもんだと思いますよ?